文京区・商店街ポイントカード事業を見学して 「事業スタートの契機」

 秋晴れの爽やかな10月「商店街研究会」は文京区商店街連合会の幹部の方に引率いただき文京区春日町周辺の幾つかの商店会を視察した。当該ポイントカード事業は平成12年2月からスタートした。導入の直接的な契機は、クィーンズ伊勢丹、オリンピック等の大型競合店の出現や「街」のマグネットになるものへの期待からだった。しかし本質的には文京区全域の夜間人口の減少・近隣商圏への買物客流出に伴う「通過型商店街に変貌する事を断固阻止する!」と言う抜本的な危機意識がこの事業に取組んだ最大の原動力であったと実感した。

1. 「ポイントカードの概要」

 この事業の概要は文京区商店街連合会が主催し、現在加盟店舗数279。運用内容は買物金額100円で1ポイント。350ポイントで満点。満点になると500円の金券や各種イベントへの参加等のメリットが付与されたものである。事業規模は平成14年度で年間約4,300万円にまで拡大し、回収率(回収/発行)も82%まで急上昇し、買い物客への浸透が深くなってきていることが窺える。

2.「ポイントカードの特徴」

 特徴は、お客様であるBunkyoker(文京区に住む・働く人)へ親しまれるために右記に代表される様々な工夫がなされていることである。

  1. 広域性(区内の60を超える商店街で利用可能)

  2. 汎用性(満点カードを買物金券以外にも旅行券・ディナー券・電化製品・米・ビール等幅広い用途に充当できる。)

  3. 適用性(ポイントの対象が幅広く、店によってはタバコや野菜等の生鮮品にまで拡大。)

  4. 経済性・イベント性(誕生日や雨の日、イベント開催時にはポント還元率が2〜15倍になる。)等の工夫をミックスさせ、脱通過型・反復利用・愛顧型商店街に向けての改革に対して効果的な推進役になっている。

3. 「今後に向けて」

  お客様本位を理念に2年前より推進してきた事業だが当日説明いただいた杉田副委員長、鍬形商店街連合会副会長等からは、@加盟店の増加A当該事業の加盟店への理解・啓蒙の促進 B「街作り」と絡めた文京区全域の商業活性化等の課題に取組まれている旨のご説明をいただいた。特にAでは、ポイントカードはあくまで商店へのサポートの一手段であり、重要なことは、個店店頭でお客様へ積極的に内容を告知し、顧客満足を獲得することを強調された。ポイント還元への店の負担を経費と位置づけてしまっては、この事業の趣旨は形骸化してしまう。各個店が顧客の固定化や認知力UP等の各々のテーマ解決に向けた「投資」と捉えることが肝要と話されたのが印象的だった。

報告者: 金綱 潤