地域通貨を商店街活性化に生かす(ニュー北町商店街)

写真 2月というのに4月上旬の陽気となった2月21日の土曜日に,支部の商店街研究会が主催した視察に参加し,NPO北町大家族の村上孝子理事長の話を聞いた。
同NPOは東武東上線東武練馬駅近くのニュー北町商店街が中心となって設立された。
  2000年5月,同商店街の線路を挟んで反対側の板橋区側に,売り場面積3万4千平方メートルの大型店「板橋サティ」が開業した。巨艦店を前に,地元の小さな商店街は消え去る運命とも見えた。
大型店との共存を図るために選んだキーワードは「地域」であった。「住み慣れた地域で楽しく暮らし続けてもらいたい」との精神で,商店街振興組合理事長の夫人である村上孝子さんが中心となり,「NPO北町大家族」を設立し,ミニデイサービス事業,かるがも親子の家事業などを展開した。
  同NPOでは地域通貨の発行も行っている。地域通貨はご存知のようにグローバル化する経済を地域の視点から見直し,地域でしか通用しない通貨を用いることによってコミュニティを再構築する狙いを持っている。 
  しかし,同NPOが発行する地域通貨「ガウ」では,少し趣を異にする。それは,地域通貨の理念は長期的な目標としつつ,その流通の難しさを克服するため「換金性」を導入している点である。

運営の概略

 換金性があるので,受け取った人は「ガウ」が嫌であれば通常通貨で受け取ることもできる。しかし,「ガウ」を受け取ることに抵抗はなく,現在2百万円相当の「ガウ」が流通しているとのことである。
 折しも同NPOを訪問した前日に日経新聞で,大和市の運営する地域通貨「ラブス」の苦境が伝えられた。「ガウ」は換金性があることで,地域通貨というより商品券に似た性格であるが,流通に成功し,商店街の活性化に役立っている点に学ぶべき点があるだろう。

報告者: 小田澄夫