地域の食を支える" 滝野川市場通り商店街 "―生鮮3品店舗健在、削り節専門店・魚ひもの店・紙問屋まで健在―

 9月25日(土) 商店街研究会で空き店舗活用事例を目的に滝野川市場通り商店街を見学した。池袋から埼京線で一つ目の駅「板橋駅」で下車、東口を出て新撰組の近藤勇・土方歳三・永倉新八の墓を横手に見ながら3分、桜通りを横切り、周辺にはマンションが立ち並ぶ近隣型商店街である。

1.滝野川商店街の沿革

 昭和20年代野菜市場を中心に周辺に商店が集積し、「野菜市場」は、「飯田百貨店」(現:スーパーコモディティ・イイダ)として商業集積の核になり、周辺商店を含めて「市場通り商店街」を形成した。昭和30年代にはアメ横的な賑わいを呈した。当初から食品、生活雑貨を中心に、安売り市場として有名になり、現在も市場的活気のあるイメージを残している。商店街通りは、桜通りを横切り、埼京線と平行に走り、通勤客の通る路線でもない。日常生活必需品で集客力を持ち、「市場通り」の名を大切にする商店街である。北区にありながら、板橋区、豊島区にも商圏が広がる商店街として、平成7年に「滝野川市場通り商店街振興組合」として"街路灯""アーチ"を設置した。
  加盟店舗は63店舗、食品販売19店、日用品12店、サービスその他が32店である。生鮮3品、家電販売店、魚ひもの店も元気、ドラッグストア、コンビニも共存している。 
  核店舗は、現在もスーパー コモディティ・イイダであり、「市場通り」を形成以来共存共栄している。

2.商店街のイベント

 近隣の地域資源を活用したイベントを効果的に年中実施している。
@ 4月の桜まつり・・・ 商店街は滝野川桜通 りが交差しており、4月に近隣商店街を   巻き込んで大々的に行う。
A 近藤勇墓前祭・・・、新撰組祭りも5商店街   共同で開催する。
B アマダ観音にちなんだ「初売り・夜市場」
C 創業祭、秋祭り、フリーマーケット等

3.ブランド戦略

 昔から「滝野川ごぼう」や「滝野川人参」が有名である。商店街として地域性があり信頼できる商品を「市場通りブランド」として、全国発信するため現在6ブランドを認定し、販売、情報発信している。

4.空き店舗活用事業

今回の空店舗活用事業は行政の支援を受けながら空店舗を利用し、名称を「市場通り新鮮組本陣」として、商店街と地元住民の交流を図り、商店街ブランドの拡販と情報発信をしようというものである。
  商店会事務所として活用する傍ら、今後の地域連携活動を重視し、「NPOヒューマンビーイング」が2階を事務所として使用。「高齢者とのふれあい食事会」「パソコン教室」「イベント用貸事務所」「朝市など有期野菜の販売」「常設展示場」「高齢者の休憩所・お休み処」等狭いスペースに盛沢山の計画があり、既にほとんど実施している。

5.感想

 商店街の形成以来、スーパーと共生し、商店街・個店がどうあるべきかを知っている商店街であろう。最近の新撰組の短期的なブームを過度に利用することもなく、地域資源として上手に活用しながら、今後の方向性を、情報発信、高齢社会への対応、商店街ブランドの制定発信、地域社会との連携等に見出そうとして着々と手を打っている商店街と思える。

報告者: 藤井哲有