桜と地域の文化資産を生かした集客構想 〜豊島区・染井銀座商店街の視察報告〜

写真  8月6日(土)東京支部商店街研究会の11名が染井銀座商店街を訪問し、高埜理事長ほか商店街振興組合幹部の方々からのご説明と質疑応答が1時間半ほど行なわれた。
  当商店街は駒込駅北側徒歩約10分の距離に位置し、豊島区・北区の境に連なる4つの商店街の中にある。長さ約400m、加盟店数100店強の規模で、イベント活動など地域活性化への積極的取組により、平成16年度エネルギッシュ・タウン「私の街」に選定表彰された。



1.桜をテーマとしたイベント活動

 当地はソメイヨシノ発祥の地として知られる事から、桜をテーマの中心に据えた活動を展開している。
  3月21日から開始される染井さくら開花まつりでは苗木等のプレゼントに加えて今年はカッポレ踊りの大行進で来街者の人気を博した。また当商店街オリジナルブランド商品の純米吟醸酒「染井桜」もこの時期に限定販売している。

2.地域住民向けサービスにカード活用

 当商店街中50店が加盟している満点式の「そめいmyカード」は現在豊島区で唯一のカード事業として続いており、拡販セール時の抽選景品もカードポイントで与える等、地元の生活への密着度を高め利用促進を図っている。
また地元の60歳以上の高齢者向けに割引特典と消息確認の機能を持つ「染井桜カード」を発行する等、高齢者向けサービスも充実させている。

3.10年先を展望した地域活性化

 駒込地区の活性化を目指し、地域の文化歴史資産を生かした来街客の拡大が課題とされており、理事長はじめ商店街の意向として、古河庭園・染井霊園等の桜の名所から当商店街を経由し都電荒川線の駅に抜ける回遊ルートを提案している。
  また豊島区や東京都庁に相談し、対象地域が複数区にまたがる場合も実施可能な補助金制度を活用する等行政への積極的アプローチも進めている。
商店街間の連携活動は、8年位前から地元商店街の若手の気軽な交流の場として「じむつう」を設けた。この活動の中から当地域に住む内田康夫氏による名探偵浅見光彦に因んだミステリー手帳が作られクイズ回答は全国から寄せられている。

  以上の通り、多様な活動の一部を紹介してきたが、ハード面と共に特にソフト面の充実した施策が特筆される。
  近隣型商店街の連携で広域からの集客を図る理事長の構想は10〜20年後の地域の繁栄を展望したものであり、また周辺商店街との連携を支える人の和を大切にする基本姿勢に理事長の温かい人柄が感じられる。
  街のマスコットキャラクターのセレサちゃん(スペイン語の桜が語源)も命名・デザインとも地元のオリジナルで、愛嬌のあるイメージは元気を与えてくれる。

報告者: 大沼健三