行政、大学との連携で商店街づくり 〜板橋区・中板橋商店街の視察報告〜

写真  東京支部商店街研究会では9月3日(土)に、板橋区の中板橋前商店街を視察した。昭和8年設置の東武東上線中板橋駅周辺にあり、昭和10年には中板橋商交会が結成されている。 中板橋商店街(振)理事長 岡田武二郎氏より宅配事業、へそ踊り、空き店舗対策に関する大東文化大学との産学連携などについて現場からの貴重なお話しを伺うことができた。

 

1.宅配事業の現場から

 宅配事業というのは平成11年に、行政の呼びかけに応じてはじまった買物代行事業のことである。
歩行困難な老人や乳幼児を抱えた母親を対象に、事務局で電話による買い物依頼を受付け、品物を買い整えて配達する。この際、配達料として300円を申し受ける。
  もっともやっかいなのは、受付けた買い物依頼を各店舗に伝える買い回り作業である。若い女性を雇ったこともあるが、主婦経験が無かったので、顧客の期待に沿えない状況が発生した。また、配達先がお年寄りの場合、いわゆる茶飲み話を余儀なくされてしまうなど、配達担当には人間性が要求される点も興味深い。現在は、地元の民生委員(女性)と退職した男性の二人に委託しているとのこと。
買物依頼の内容は野菜、肉、魚などの生鮮品が多い。一日の利用頻度は4〜5件で、1件当りの買い物は3000〜4000円、月当たりの商店街の売上げは30万円程度である。
立ち上げ当初、補助金100万円を受けたものの、宣伝費には300万円かかった。他にも、商店街会館(5階建て)建設の助成、電気自動車の支給を行政から受けた。
現在は、人件費等で若干の赤字であるが、マスコミに取り上げられることもあり、全国から視察団も来る。この宣伝効果を400〜500万円と見積もっている。
しかし、今後は見直し予定である。

2.10年続く、「へそ踊り」


 すっかり有名になった「へそ踊り」が始まったのは平成8年、今年の7月に第10回を挙行した。板橋区の真ん中ということで、へそに着目。同じくへそを資源としている群馬県渋川市(日本のへそ)、武蔵野市武蔵境駅(中央線のへそ)を視察、商店街の統一イベントとして開始した。
費用は年間約350万円。踊り子の食事代と風呂代(風呂屋には割増料金必要)が主な支出項目である。尤も飲食関係は4月の「さくら祭り」の方に力を入れている、

3.大学(学生)との連携

写真 大東文化大学と連携して商店街空き店舗活用のため「環創堂」を開店。商店街でたまたま空いていた店舗を提供、費用は2/3を区/都が補助、1/3を大学が負担。
大学の知名度、信用を利用してペットボトルのキャップ回収事業など、ユニークな事業を計画中である。

(右の写真は環創堂・・・土日は休業)

報告者:小山田哲治