商店街における通行量自動計測システムの活用 〜上野中通商店街を視察〜

 2月10日(土)に商店街研究会の2月例会に参加し上野中通商店街を視察しました。当日は2月なのに暖かな陽気で、連休前の土曜日の昼下がりのせいか結構な人出で賑わっていました。聞けば、この日の商店街への入場者数は15時現在で16,051人。何故このように正確な数が瞬時に判るのかと言えば、この商店街では全国で初めて画像処理によって来客数をカウントするシステムを導入・活用しているのです。

1. 上野中通商店街の沿革

 上野中通商店街振興組合は、上野松坂屋北口から上野アメ横丁商店会に通ずる延長270メートルの通りを中心に構成され、現在約150店、殆どの店が加入しています。
  この地区の商業は江戸初期に東叡山寛永寺の門前町として興ったと言われています。昭和40年に振興組合が組織され、東西南北の入口にアーチを新設、昭和60年には高度化資金を導入してカラー舗装やアーチ新設による第1次モール化を行いました。
バブル崩壊後の平成6年に「芸術通り宣言」等の商業理念を明確に打ち出し、東京芸大生との共催「芸術まつり」や「上野探検ウォークラリー」などソフト事業を幾つか開始しました。また、安全な商店街作りのため上野地区内でいち早く監視カメラを設置しました。
  平成11年には第二次モール化事業として装飾街路灯工事とカラー舗装工事を行いました。特に街路灯は、芸術通り宣言をした商店街らしく、現代ポップアートの旗手、日比野克彦氏他5人の一流芸術家がデザインしました。また、特筆すべきは、日比野氏が「アメ横」に対抗してデザインした商店街入口のアーチの「上中(ウエチュン)」という二文字の赤いオブジェです。良く目立ち、人の注意を引きます。

2. 通行量自動計測システム

 本システムは、商店街入口のアーチに2台のカメラを設置し、カメラからの映像を画像処理して人数をカウントします。画像処理による計測なので人の移動の方向も判別でき、入場者・退場者を区別してカウントすることができます。
分析された人数データは組合事務所のディスプレイにリアルタイムで表示されており、我々が見せて頂いた時には冒頭に記述したように、総入場者数16,051人、総退場者数15,970人と表示されていました。
本システムは昨年5月の連休に稼動して以来、計測データを全て蓄積しており、天候・気温やイベントなど外的要因との相関などいろいろな分析ができるようになっています。現状これらのデータは会員店舗にフィードバックされ、各個店でのマーケティングに役立っています。
  設置費用は約600万円で、2/3は補助金です。監視カメラ設置の折に敷設した同軸ケーブル管を利用することで通線工事費をかけず設置費用を安くできたとのことです。

3. 今後の活性化に向けて

 上野中通商店街は芸術をテーマに街づくりに邁進し、台東区で初めてのモール化や今回紹介したシステムも東京で初など先進的な取組を積極的に行ってきました。
 今後は更なる商店街活性化に向け、回遊性向上施策の検討に本システムのデータ分析の活用や運用面も含めた本システムの更なる改善に取り組んでいくとのことです。

上野中通商店街  http://www.ueno-nakadoori.or.jp/