深川いっぷく ―深川資料館通り商店街協同組合―

 2月25日商店街研究会は、深川資料館通り商店街の「深川いっぷく」視察を行なった。平成18年10月、空き店舗対策事業によるコミュニティスペース「深川いっぷく」をオープン、昨年の第3回「東京商店街グランプリ」活性化部門 グランプリを受賞。いっぷくは、同商店街が運営するコミュニティ・ショップ&ギャラリーカフェである。

1、商店街と周辺の変遷

 同商店街は、昭和23年、区役所通り商栄会として寺町の白河・三好地区に発足。当時、後背地には木場の材木問屋約250社、従業員約15,000人の存在があり賑わった。木場は、明治維新以降、沖合が埋め立てられ、目前の海が消えた。昭和44年、貯木場が新木場に移転、跡地に木場公園が造成され、平成7年、公園の一角に東京都現代美術館が開館。昭和36年、江東区役所通り商店街協同組合に法人化。昭和49年に江東区役所の東陽町へ移転、跡地に「深川江戸資料館」が完成、昭和62年に現在の名称に変更。現在、約900bの商店密度の低い街区に約100店舗が営業中

 

 

2、商店街のイベント

 かかしコンクール:平成10年開始、毎年9月1日から敬老の日まで、応募者の「かかし」を路上展示。平成18年国際芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ2006」に95本の「かかし作品」でアーティスト参加。癒しの展示と好評。花みずき街角誰でもアーティスト:平成13年開始、毎年4月後半から昭和の日まで、一般公募の絵画や書などを、境内、ウィンドーや店内に展示。

3、空き店舗対策として始まる

 平成18年10月に旧薬局店舗を活用し、空き店舗対策として3年間で家賃2/3、改装費4/5補助、地域密着型でスタート。当商店街は、深川江戸資料館(江戸庶民文化)と東京都現代美術館(現代アート)をつなぐ位置にあり、いっぷくでそのふたつの要素の出合いと融合を模索する。地域の案内、ライブや寄席、朗読会、ワークショップなどのイベントを様々な方が開催。アートやクラフト作品を展示販売、旧調剤室は「調剤室ギャラリー」といい、現代アートから江戸小物まで、小さいスペースに、好奇心を刺激する幅広い展示を行なう。

4、埋もれた資源の見直しと役割分担。

 いっぷくオープンに先立つ3月、分部副理事長は観光アドバイザーのコーチングを受け、埋もれた資源に気が付いた。それは、多くのお寺や現代美術館、深川江戸資料館である。いっぷくの白濱マネージャーは、6年前かかしコンクールに参加。以後商店街と関り、いっぷく立ち上げに「アートコーディネーター」として参加、陳列、装飾、運営等を行う。市角理事長は、補助が終わる21年までの黒字化を目指す。増える観光客やマンション人口急増中の当地でイベントが人と人を繋ぎ、いっぷくは情報発信地としてさらに絆を深める役割を担う。

報告者: 鈴木 隆男