目黒の先見ポイントカード「めぐもカード」導入 ―鉄道系ポイントカードは覇権をとれるか―

 東京支部商店街研究会では、4月28日(月)に、目黒区商店街連合会事務局長伊藤典雄氏をお迎えして、パスモと連携したポイントカードシステム導入に関してお伺いした。

1.システムの概要

 パスモ/スイカカードをベースに、電子マネー決済、クレジットカード決済、ポイントカード付与を1枚のカード/1台の端末で行うことが出来る。
  ポイントカードの機能としては、まずカード発行費用は不要、ポイントの加算あるいはポイントの使用は、インターネットを介してホストサーバーとリアルタイム決済を行う。

2.導入の背景

平成19年度よりパスモがスイカと同一運用を開始したことから、この電鉄系、クレジット系(ビットワレットなど)、そして流通系(ナナコやワオンなど)が、三つ巴で激しい顧客&加盟店獲得競争を繰り広げている。各カードともポイントカードシステムを顧客囲い込みのツールとして提供しており、今やポイントサービスのない小売業は、サービス水準が1段低く見られるまでに至っている。

  とりわけ目黒区内には東京急行電鉄が網の目のように鉄道網をはりめぐらしており、同電鉄が行う顧客サービスと連携する価値は非常に大きい。

 

3.めぐもポイントシステムの特徴

 加盟店サイドからみた場合、入会金5千円、ポイント保証金5千円、端末リース料月額5百円と、個店としての固定費はさほど大きくはない。ポイント出しについては、基本お客様1、000円の購入に対して、¥19.8のコストとなるが、ポイント付与比率はお店の各自判断に任されており、¥200の買い物に対して1.98%の比率とすることも自由である。

4.可能性と今後の課題

 平成20年4月時点での電子マネー決済件数は、スイカが前年同月比55%増の2千74万件。パスモに至っては前年同月比4.5倍の5百26万件となり、合計では2千4百万件のエディーを抜き、ナナコの2千8百万件にせまる勢いである。3年後、どの種のカードが覇権を握っているのか、非常に興味深いところである。
  ただ個店から見た場合、パスモの決済手数料は2%以上、さらに付与ポイント経費を加算すると、その負担は決して低いものではなく、加盟店の増加スピードに影響しているものと思われる。また、顧客に対してポイント付与サービスという機能レベルでの運用のみしか行わない場合、顧客の囲い込みは、掛け声ほど確実に強化されていない可能性が高く、ソフト面での施策充実が今後の課題と思われる。

報告者:江原 啓彰