安心安全の街づくり ―池袋のバックヤードは復活なるか―

 商店街研究会では、5月24日(土)豊島区の池袋本町(以下「池本」)4商店会を視察し、NPO法人街づくりネットワーク理事長青木正典氏ほか多くの方より、池本流「街づくり」についてお話を伺った。

1.池本4商店会の概要とNPO法人設立

 もともと池本4商店会は、隣接する4つの商店街が協働してイベント開催などを行ったことが、連合への始まりとなった。
いわば各商店街の青年部隊(実働部隊)をNPOに集めて、商店街自身の高齢化に対応しようという試みだ。
一方同商圏は、東武東上線北池袋駅から下板橋までの区間と、南を川越街道、西を山手通りといった比較的大きなハザードで区切られている。その内部を構成する池袋本町1〜4丁目には、約8千3百世帯、約1万5千人の夜間人口を抱え、隣駅池袋ターミナルのバックヤードの役割を果たしている。

2.活性化施策のオンパレード

 毎年10月下旬2日間開催される池本4商店会合同「池袋本町ふれあい祭り」には、100張りものテントが参加して、地元小学生から地方連携の応援団まで多数駆けつける。今年で7回目となる。
  また、当然空き店舗対策もやっている。商圏内に2箇所の物件を借り上げ、コミュニティ活動に利用している。昨年7月からは、豊島区の姉妹都市(かつ防災提携都市)である山形県遊佐町と連携して、月2回のペースで、同町アンテナショップを開催している。
そして4商店会共通オリジナル満点式ポイントカード「きずなカード」が、昨年10月に取り扱いをスタートした。パスモなど鉄道系がシェアを伸ばすことがわかっていながら、敢えて地域の「きずな」づくりにこだわった。ポイントカードに独自の福祉ポイントも連携させた。

3.安心安全のまちづくり

 加盟店サイドからみた場合、入会金5千円、ポイント保証金5千円、端末リース料月額5百円と、個店としての固定費はさほど大きくはない。ポイント出しについては、基本お客様1、000円の購入に対して、¥19.8のコストとなるが、ポイント付与比率はお店の各自判断に任されており、¥200の買い物に対して1.98%の比率とすることも自由である。

5.今後の展望

 ポイントカードの加盟店増加など,ミクロ面の課題もさることながら、戦略面において巨大ターミナル池袋駅との住み分けをどうするか。要するに地域の差別化、すなわち「地域住民に対し、地元で消費・購買行動をするための合理的な理由を用意してあげる」こと。診断士として、全面的に支援を差し上げたい魅力的な課題でもある。

 


報告者:外池 登志郎