「ウルトラマン」をシンボルとした「超、ずばぬけた」街づくり ―「ウルトラマンまちづくりプロジェクト」の事例―

 東京都商店街研究会は、6月7日(土)に祖師谷商店街(振)、祖師谷南商店街(振)、祖師谷昇進会商店街(振)の総称である「ウルトラマン商店街」の視察を行った。同商店街では、「ウルトラ」という言葉が意味する「超、ずばぬけた」街づくりに取り組んでいる。

■「ウルトラマン商店街」誕生

 もともと、ウルトラマンをシンボルとする地域活性化策は、世田谷区職員によるプロジェクトチーム「世田谷売り込み隊」の発案である。同プロジェクトチームのコーディネートにより、世田谷区砧に事務所を構える円谷プロでは、目的を街づくりに限定しキャラクターの無償使用を認めている。
  その後の準備委員会の活動を経て、平成17年4月に3商店街の愛称を統一した「ウルトラマン商店街」が誕生。祖師ヶ谷大蔵駅前にウルトラマンのキャラクターを用いた案内板や車止めが設置されている。

 

 

■ 東京都「地域連携型モデル商店街事業」のモデル事業に指定される

 平成17年6月には、3商店街が立地する小田急線祖師ヶ谷大蔵駅周辺地域が、東京都の「地域連携型モデル商店街事業」のモデル事業に指定された。同時に、3商店街を中心に円谷プロ、町会、日大商学部、小田急電鉄など地域の関係団体の連携により「ウルトラマンまちづくりの会」の設立がなされている。 以降、ウルトラマンをシンボルとした街づくりが加速化している。 同事業ではシンボル像などのハード整備とコミュニティーマートの開設、街づくりの会の各事業(防犯、防災、清掃)などが実施された。  具体的にはウルトラマン像(本体:2.5m、台座1.3m、駅前広場に設置)やウルトラマンが飛んでいる姿をモチーフとしたアーチ(3基:ウルトラマン、ゾフィー、ウルトラマンジャックの3種類)を新たに整備。加えて絵本作家の宮西達也氏と地元の子供たちが作成した街路灯ペナント(約70枚)を掲げた。 また、空き店舗を活用した「cafe Melody」では商店街オリジナルのウルトラマングッズを販売しており、地元住民の交流スペースとしても活用されている。

■広域からの顧客吸引力が向上

 平成18年3月19日には、ウルトラマン像、アーチ等の完成を記念して、ウルトラまちづくりの会主催による式典が開催された。ウルトラマン等との握手会なども行われ、当日は千人にのぼる来街者が訪れた。マスコミ関係者も多数集まり、「ウルトラマン商店街」の知名度の向上につながっている。現在では、地域住民のみならず、ウルトラマンをお目当てとする広域からの顧客が増えているようだ。

報告者:遠藤 光司