阿佐ヶ谷わがふるさと館見学記

 商店街研究会で「阿佐ヶ谷わがふるさと館」を見学した。当施設は七夕祭りで有名な阿佐ヶ谷パールセンター(阿佐ヶ谷商店街振興組合)事務所を使い、本年3月にオープンしたものである。阿佐ヶ谷地区16町会と14商店街の地域連携の拠点を作る事業として東京都の「地域連携型モデル商店街事業」の指定を受け、施設建設には補助金が活用された。阿佐ヶ谷地区七大祭りの拠点、障害者施設のコミュニケーションギャップ、地域住民の文化的情報発信のためのギャラリースペース創設、地域の紹介や案内を行うコンシェルジュの駐在、商店街通路に設置された防犯カメラの管理ステーション設置、法律・税務・健康等の相談会開催、AED講習会開催、地域住民組織への会議室提供など、多彩な機能を使って展開する地域住民の暮らしの支援と商店街活性化のための活動が計画され、実施されつつある。そして、都がこの事業のフォローを当東京支部へ委託し、「地域連携型モデル商店街フォローアップ事業」もスタートした。私もこの事業担当者の一員としてフォローアップに取り組んでいるが、ハードは出来たもののソフト面はまだこれからであり,、解決すべき課題も多いなかでのスタートアップとなった。

 9月20日(土)、柳田リーダー以下14名が阿佐ヶ谷パールセンター(阿佐ヶ谷商店街振興組合)を巡回したあとに当施設を訪れ、午後3時より当商店街相談役の小川勝久氏から説明を受けた。小川氏は長年にわたって当商店街の理事長を務め、この「阿佐ヶ谷わがふるさと館」の建設や関連事業の計画立案の中心になって活躍された方であり、当施設や事業についての詳しい説明をお聞きすることが出来た。

 発端は当商店街事務所の老朽化の解決であったが、これを立て直すにあたり、単に事務所にするだけでなく、阿佐ヶ谷地域活性化のための地域連携の拠点に活用する案が浮上し、これが発展して現在の事業となったとのこと。もともと当商店街は阿佐ヶ谷地域の中心に位置して広域から集客し、地域内ではもっとも巨大で活性化された商店街であることから、地域全体に対する責任を背負う立場にもあることを認識する役員が多かったことがこのような発想につながったものと考えられる。ただこのことにより建設費等の7割強を補助金で賄うことができたため、ハード事態はかなり立派なものになった。

 建物は4階建てで、一階は入り口付近がコミュニティーショップやコンシェルジュの駐在等に利用するイベントスペースで店奥は商店街事務所と障害者用トイレ、エレベーターが設置されている。2階は地域住民が発表できるギャラリースペースで、各種相談会もここで行う。3会は会議室で地域の商店街や住民組織の会議等に利用でき、4階は地域のイベント等を行う団体の事務局やイベント準備室等に利用される。これにより地域最大のイベントである「阿佐ヶ谷七夕まつり」や「阿佐ヶ谷ジャズストリート」も準備・運営のための拠点スペースを持つことができ、また5月からは区内障害者施設のコミュニティーショップも週2回開設され、土日はコンシェルジュが駐在している。しかし活用面ではまだ十分とはいえない。住民への周知徹底、施設管理や運営コストの問題、活用しやすいシステムの構築等の課題は多く、これを支援すべき診断士チームの使命の重要さを痛感する。


報告者: 中津留 準