商店街の“人づくり”支援へ新拠点 ―全国商店街振興組合連合会・桑島理事長の講演報告―

 東京支部商店街研究会では5月15日に、全国商店街振興組合連合会(以下、全振連)理事長でこのほど椛S国商店街支援センター代表取締役社長に就任した桑島俊彦氏を講師に迎え、「地域商店街活性化法、全国商店街支援センターと診断士の役割」をテーマに講演会を行った。オリンピック招致PRフラッグはためく地元烏山駅前通り商店街(世田谷)事務所で、現場レベルから国政レベルまで全国商店街リーダーならではの幅広い商店街戦略を伺う機会となった。

1.買い物の街から市民の路へ

 桑島氏は今後商店街がめざす方向性として、「安全安心や環境、福祉、食育、子供の社会教育、高齢化、地域文化創造・伝承などの地域課題に、地元NPOや自治体と連携しながら、地域社会を“経営”する担い手の役割を果たすこと」と解説。世田谷区商店街から全国へ広がった民間交番、環境配慮型のLED街路灯、AED整備、地域貢献活動への商店街ポイントの提供など、各地の先進事例を挙げながら、こうした活動を通じて“公共的団体”として地元市民に認知・評価されることが重要だとした。

 

 

2.地域商店街活性化法成立へ尽力

 加えて、こうした現場レベルの取り組みをスムーズに実施するために、組織として政治や行政に訴えかける団体活動も重視する。このほど全振連など中小企業関連4団体の要望が実り、地域商店街活性化法(商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律)も成立へ。ハード整備中心だった商店街振興施策が、ソフト支援重視へとシフトする大きなきっかけになるとした。
  同法では、まず資金面では、各種補助金や税制措置、融資制度等が拡充される。土地譲渡所得の1500万円の特別控除等、「“若者”、“よそ者”の空き店舗への新規出店を後押しすることで、商店街組織の人材強化にもつなげていく」。また情報発信・交流面では、冊子「新・がんばる商店街77選」発行や「全国がんばる商店街フォーラム&交流会」(7/7(火)、於:都立産業貿易センター台東館)も盛り込まれている。

3.全国商店街支援センターを起爆剤に

 とりわけ桑島氏が同法において重視するのが、人材育成面の取り組みだ。地域経営の専門ノウハウを提供し、その担い手として商店主のやる気を喚起していく「人づくり」支援の拠点となるのが、全振連を中心に中小4団体の出資で4月に設立した椛S国商店街支援センターだ。今後10年間をかけて国庫補助・中小機構助成も活用しながら、商店街リーダー育成や専門家派遣などを強力に推進していく。とくに小売店支援や起業支援などにおいては、「中小企業診断士の方々にも支援マネジャー等としてぜひ連携協力していただきたい」との期待が寄せられた。

報告者: 中央支会 河合陽子