仙川商店街の交通系カード事業 ―「スイカ」や「パスモ」との併用が可能に―

 商店街研究会では、9月25日(土)調布市の「仙川商店街協同組合」を視察し、当商店街の片桐雅教事務局長より「交通系ポイントカード事業について」のお話を伺いました。

1.商店街の現状

  京王線で新宿から約20分に位置する仙川駅。仙川商店街は駅前から延び、組合員数は賛助会員を含め約240、駅乗降客約72千人/日と相まって活気をみせています。

2.カード事業の取り組み

 仙川商店街におけるカード事業は以下の経緯をたどりました。

 「ハーモニー」は利用者が加盟店で購入した際に、買い上げ金額に応じてポイントがたまるものでした。利用率が減少したため調査をすると、「ポイントが満点にならないと使えない」という点で利用者にとって無駄が多いことや、「若い世代に満点カードの利用者が少ない」ことが判明したのです。

 そこで、ICカードへの切り替えを決定し、カード事業の運営主体として商店街出資100%の株式会社モール仙川を設立するなど、3年の準備期間を要して導入しました。導入コストは機器類や広告費等で5,300万円、店舗の負担金は助成金を得られたことでISDNの工事費2,800円、ランニングコストの通信費等となっています。
 現在、「ハモカ」が使える店舗は60店、利用者は約13,500人です。

3.ICカード「ハモカ」の特徴 

 特徴の1つは商店街で発行する専用カードの「ハモカ」に加え、交通系カードのスイカやパスモにも「ハモカ」の機能を付加きる点です。商店街で得たポイントがすぐにスイカやパスモで利用できませんが、仙川商店街事務局ではポイント変換のサービスを実施しています。
旧カードと比較した特徴では、「ハーモニー」ではポイント残高が不明だったのが、ICカードでは明確になってカード事業の会計や運営が行いやすくなりました。また、顧客データがとれるようになり、事務局では全体の把握をするとともに、加盟店にはその店についてのみフィードバックをしています。
  利用者も貯まったポイントはインターネット・携帯電話・商店街事務局で確認できるようになり、利便性が高まりました。

4.問題点

 この事業は、基本的には、個店で顧客に発行した1ポイント(1円相当)に対し、事務局には2円を支払ってもらい運営されています。十分な事業運営費を確保する為に、加盟店の増加と売上増に伴うポイントの増加が望まれています。
いっぽう個店側の問題点としては、通常のレジ打ち以外にポイント用の機器に入力しなければならず、手間がかかります。

5..今後の課題

 仙川商店街ではメールマガジンを月2回配信していますが、年配者を中心に配信を望まない顧客もいて、配信率は15%程度です。「今後は情報網のサービスを充実化し、加盟店の売り上げにも結び付くようにしたい」と片桐事務局長は話し、顧客情報を活かしたマーケティングを模索しています。

報告者: 城南支会 小林 伸行



 

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