板橋・蓮根地区3商店街によるエコ・キャンパス プロジェクト

―地域を思う人と組織による「安心・安全」「文化」「環境」視点のまちづくり―

 商店街研究会では、2月19日(土)、板橋区蓮根の3商店街を中心に発足した「はすね・エコ・キャンパス プロジェクト」の藤崎事業推進委員長を訪ね、プロジェクトの計画・推進概要について話を伺いました。
同プロジェクトは、平成22年度に東京都地域連携型モデル商店街事業の指定を受け、経済機能以上にまちづくりとしての社会機能向上により重点を置いた事業として注目されます。

1.事業推進母体(商店街)の概要 

 プロジェクトは、都営三田線蓮根駅の周辺に所在する蓮根中央商店会(駅西側)・はすねロータス商店会(駅西側)・蓮根駅前通り商栄会(駅東側)の3商店街が協調のうえ主体となり、地域密着型の商店街らしく地元の町会(蓮根東町会・蓮根仲町会)・教育機関等とも連携のうえ発足しています。
蓮根中央商店会は物販店を中心とした77店、はすねロータス商店会および蓮根駅前通り商栄会はともに飲食・サービス店を中心とした47店および61店で構成され、加盟率は50%をやや上回る水準となっています。商圏の中心である蓮根駅の1日平均乗降客数は17,000人弱程度でここ15年は同水準で推移、高齢者が多い一方で新規のマンション建設等から若年世代の来街もみられます。

2.事業の視点・内容

 事業のテーマは『商店街発の「安心・安全」「文化」「環境」のまちづくり』、そして地域のキャンパス化と生活者による地域の魅力向上をコンセプトと位置付けたうえで、具体的には以下の広範な12事業について作業部会を組織、企画・推進を行っています。なお、事業内容にレンコンを題材としたものが散見されますが、町名の由来は上蓮沼村と根葉村との合成地名であり、地産と称する程の生産は行われていません。

(1)安心・安全3事業

 緊急地震速報放送(街路灯を利用し災害訓練で試行)、防災マップの作成、防犯カメラの設置(32台)・公衆無線LAN環境の整備

(2)文化6事業
 シンボルマークの開発(3商店街共通デザインのフラッグを作成)、はすねオリジナルレシピの開発(東京家政大学と連携しレンコン素材のレシピを開発)、イベントの開催(レンコン祭り等)、街並み整備(「落書き110」と題し壁面・橋脚等の落書きを除去)、空き店舗利用による交流拠点づくり(育児等の意見交換の場)、地域情報発信

(3)環境3事業
 みえるエコ(街路灯・店舗のLED照明化等)、打ち水運動(志村警察署・東京家政大学と連携のうえ「大作戦」と銘打ちイベント志向で実施)、緑のカーテン(沿道に緑色植物の鉢植えを陳列)

3.感想・今後の課題

 事業の総予算は7〜8百万円と小規模であり個別事業でも推進途上のものが存在しますが、商店街の垣根を越え、最大の資源と言える地元を思う人や異組織を1つのプロジェクトに集結させ、1つ1つ着実に地域コミュニティ機能向上に取り組む手法は、特に小規模商店街にとって参考になり得るモデルであると感じました。今後は、中期視点からの事業継続、特定者に依存しない推進体制構築等が課題となります。

報告者 : 城南支会 山下 哲