観光レトロ商店街モデル事業を視察して〜香取大門通り会の取組〜

 商店街研究会5月度の例会では、亀戸の香取大門通り会を視察、豊永勝稔会長に「観光レトロ商店街モデル事業』の取組について、「勝運広場」でお話をお聞きしました。

1.観光レトロ商店街モデル事業について

 亀戸には、亀戸天神や香取神社などの観光資源があり、年間を通じて多くの観光客が訪れます。平成24年にはスカイツリーが開業し、墨東地区への観光客増加が期待されています。この状況を背景に昭和レトロをキーワードに昭和30年代の活気ある商店街再生を目指し、江東区が「観光による地域おこし」を目的に実施した事業です。この事業は、平成22年度の東京都地域連携型モデル商店街の指定も受けています。

2.同モデル事業の主な取り組み

 同事業の主な取り組みは、統一景観の整備による店舗ファサードの看板建築の採用、ゲート、突き出し看板、空き店舗の活用、門前町としての地域ブランドの開発など香取神社を商店街集客の核と位置付け、門前町として魅力ある歩行者空間、レトロな店舗景観、観光的な魅力ある商品のある商店街づくりを進めるものです。同事業の総事業費は、278百万に及びました。

 

3.地域協議会の開催と期待される効果

 同事業の開始に際し、平成21年8月に香取大門通り会を中心に亀戸観光協会、亀戸天神社、町会等と香取台門レトロ商店街事業推進協議会(地域協議会)を開催、活発な議論を行うとともに、ブログの立ち上げ、イベントの実施など地域の絆を強化していきました。観光レトロをテーマとした地域協議会の取組は、商店街活性化と観光振興が一体化むした新たな政策と言えます。区も亀戸地区をスカイツリー開業後の重要な観光拠点ととらえ、同事業を地域住民が主導する区との共同事業と積極的に支援を行う体制を整えています。

 各店舗が「昭和レトロ」をテーマに取り組むことで商店街の魅力が向上し、多くの観光客をひきつけ、観光型商店街としての発展が期待できます。また、亀戸地区の観光資源とのに相乗効果を発揮することで回遊性が向上しの、地域全体の経済的活性化が期待されています。

4.昭和30年代の商店街の輝き

大戦で亀戸地区は大きな被害を受けましたが、昭和24年の統制解除後は、食料品店の集積地としてにぎわいました。昭和30年代は集団就職の若者を雇用する町工場も多く、冷蔵庫の無い時代、朝の5時から昼、夜とスリの被害が出るほどの賑わいでした。

やがて冷蔵庫の普及や車社会の発達、スーパーマーケットの進出等により商店街を取り巻く環境は変化し、活気が失われ空き店舗が目立つようになりました。

 この事業は、商店街の賑わいを観光と連携させて復活を図るものです。豊永会長は「仏を作って魂入れず」にならないようにとこれからの方針をお話しされています。

城西支会 鈴木隆男