上板南口銀座商店街 アンテナショップ「上板橋とれたて村」―地方都市との「心と心のつながり」によるまちづくり―

 商店街研究会では、9月17日(土)に上板南口銀座商店街の木田理事長を始めとする商店街振興組合の方々を訪ね、前回訪問時(2006年8月19日(土))はオープン直前であった、アンテナショップ「上板橋とれたて村」についてお話を伺いました。

 

 同事業は、板橋区の「全国ふる里ふれあいショップ」の2号店として開設しており、商店街による農商工連携の事例となります。

1.事業推進母体(商店街)の概要

 上板南口銀座商店街は、東武東上線上板橋駅の南口から川越街道へ至る通りを中心に広がり、古くからある子育地蔵尊にちなんだ「まもりん坊」(商標登録済み)をマスコットとし、古くからの街並みを大切にするというコンセプトの元で商店街活性化を図っています。

 商店街振興組合への加盟率は非常に高く、ナショナルチェーンも含めてほとんどの店舗が加盟しています。近年はマンション建設などにより、高齢者だけでなくファミリー層の来街も見られます。

2.事業の視点・内容

 同事業は、板橋区が区民に交流のある市町村を身近に感じてもらい、四季折々の特産品、各地のイベント、ふる里の情報等を発信することで、都市と地方、生産者と消費者、人と人がさらに交流・友好を深めていくことを目的に募集したものです。商店街としては、組合員の商店街への参加意識の向上と地域住民の憩いの場づくりを狙いとしています。

 店舗は商店街の南西部に位置する空き店舗を活用しています。店舗の内装費用や家賃、イベント開催経費などのそれぞれ3分の2は区から補助金を受けていましたが、2年前からは独立採算で運営しています。主な事業は以下の3つです。

(1)旬の食材や特産品の販売

 他店では購入できない、参加都市の旬な食材や特産品を販売しています。

(2)観光案内を始めとした情報提供

 参加都市のパンフレットやチラシを設置し、来店客への情報提供を行っています。

(3)イベントの開催

 参加都市との共催イベントや商店街行事(朝市・縁日など)での物産販売を中心に、定期的にイベントを開催しています。

 他にも、「とれたて村給食」として年に数回、板橋区の全小中学校へ食材を提供しており、好評を博しています。現在の参加都市は北海道奥尻町、岩手県久慈市、秋田県湯沢市・仙北市、福島県本宮市、長野県駒ケ根市、東京都八丈町・三宅村、千葉県鴨川市、静岡県焼津市の10都市です。

3.感想・今後の課題

 震災復興支援にも積極的で、木田理事長は、参加都市との関係を「心と心のつながり」と仰っており、単なる経済的機能以上の意味を持つ事業であることが分かります。また、木田理事長を中心とした組合員のチームワークと熱意が、商店街活性化の原動力であると感じました。

 同事業の地方都市との交流モデルは、外部連携による活性化を狙う商店街にとって参考になるモデルと考えられます。今後は、参加都市の事業者が補助金の終了後も継続的に参加できる仕組みの確立と仕入れコストの削減などが課題となります。

城北支会 原園 耕路