とごしぎんざブランド開発による地域活性化を視察して〜戸越銀座商店街の取組み〜

 商店街研究会1月度の例会では、戸越銀座商店街を視察、亀井哲郎理事長に「とごしぎんざブラント開発による地域活性化」の取組みについてお話をお聞きしました。

1.とごしぎんざブランド誕生

 「売るべき商品がなければ、売上げは伸びない」「ここでしか買えない商品を作ればお客さんは探してでも来てくれる」という考え方で誕生したのが「とごしぎんざブランド」です。

2.ブランド開発成功までの過程

 バブルの崩壊や、消費者のライフスタイル変化で24時間営業のコンビニが出現することなど、商店街の集客に影響を与えました。その対応策として、朝市やナイトバザールといった時間帯を延長した販売強化を実施しましたが、思うように売上げが伸びません。そこで、消費者目線で買いたい商品を開発、スーパー、コンビニなどの大手流通業と差別化する「マーケティング」手法を取入れ、商店街のブランド開発に取組むことにしました。 1999年に「オリジナル商品開発委員会」が発足し、商品開発を加盟店に働きかけましたが、当初の反応はまったくありませんでした。「お金をかけて作って売れなかったらどうするんだ」という店主の反応がほとんどでした。それでもあきらめずに、酒販店の店主を説得し、東京の酒蔵に相談して、オリジナル商品第一弾の純米酒「とごしぎんざの御酒」を1999年6月に販売しました。       商店街のオリジナル商品は珍しいということで、さまざまなメディアで取り上げられ、全国から注文が相次ぎ、酒販店の売上も増加しました。 その後、商品開発が進み、現在では、オリジナル商品販売店舗は10店舗で、ラインナップも菓子類、調味料、時計など30種類まで拡大しています。「無添加、高品質、真心」をコンセプトに開発した、地元のブランド品としての贈り物、お土産需要など、商店街の集客に大きく寄与しています。

3.さまざまな商店街事業

/眼鏡をかけた銀次郎 @戸越銀座コロッケ 昔からお肉屋さんがつくるコロッケは評価が高かったことから、「戸越銀座コロッケ」のプロモーション活動が始まりました。現在では20店が独自のコロッケを販売しています。この活動は立正大学経営学部池上ゼミと産学連携の取組みです。 A商店街キャラクター 2004年にマスコットキャラクター「戸越銀次郎」が誕生し、各店舗がプロモーションに活用しています。愛称「銀ちゃん」として親しまれ、ファンが応援しています。 Bユビキタス商店街 電線類地中化工事に合わせ、光ファイバー網を埋設して、店舗や利用者にコンテンツ配信などのサービスを提供する「ユビキタス商店街」を構築するプロジェクトに取組んでいます。

 

 

4.今後の課題と感想

 将来の商店街像を模索する中で、さらなる事業発展を目指すために、自主財源を確保して活性化を図る、「株式会社化」の検討が課題となっています。 今回の亀井理事長のお話で、商店街活性化のために、プロダクトアウトではなくマーケットインの考えを粘り強く浸透させていった熱意に感心しました。  東京一長い戸越銀座商店街で、コロッケを食べながらお気に入りの「とごしぎんざブランド」商品を探すために ぶらりと訪れてみてはいかがでしょうか。

城南支会 川居宗則