地域企業を巻き込んだ五反田商店街のまちづくり―「肉祭り」イベントで商店街を一つに―

 商店街研究会では、6月16日(土)、品川区の「五反田商店街振興組合」を視察し、当商店街の専務理事である石坂直明氏ほか3名の幹部の方より、ユニークな「肉祭り」イベントで五反田の街を一つにすることに成功したプロセスをうかがいました。

1.五反田商店街の置かれている状況

 五反田商店街振興組合は、昭和40年10月に設立されました。縦にはJR五反田駅から東急池上線大崎広小路駅に渡り、横には山手通りを中心に約1kmに渡るエリアです。商店舗数は約350店、うち振興組合参加店舗は約136店で、地域に点在する商店、芸能プロダクション、企業などが加盟しています。組合加盟している店舗のうち47%は飲食店が占め、来街者の多くは、周辺の企業や大学に通うサラリーマンや学生が中心となっています。

2.食を通して五反田を元気に

五反田商店街の肉祭りイベント

 「五反田肉祭り」イベントは、日頃より五反田を利用しているお客様への感謝を込めて、「目黒川を見ながら肉料理に舌鼓を…」というコンセプトで行われました。 2010年に行われた第一回では、肉料理1,000食を無料配布し、お笑いライブ、ヒップホップダンス等も行いました。インパクトあるイベントはツイッター等でも大反響でした。第二回肉祭りでは、被災地支援の観点から2,000食の宮城牛を無料配布し、 福島物産展、お笑いライブ、目黒川クルーズ、地元店舗の名物料理屋台村などが催されて、更なる盛り上がりを見せました。

3.集客力あるイベントの効果

 商店街では、地元の企業、大学にも協賛を求めて広報活動を行い、新聞折込チラシ65,000部を各紙へ配布しました。またお祭り専用のホームページを開設し、Face bookやTwitterと連動させて、お祭りの様子を動画や写真で配信しました。また、第一回、二回目ともにその高い注目度によって、日本経済新聞にもイベントが紹介されました。 それらの結果として、ホームページは第二回までに約40,000件のアクセスを集め、来場者数は、第一回で約5,000人、第二回で約15,000人までになりました。

4.更なる発展イベントになるために

 第二回までのイベントを通して、会場の確保、運営組織の強化、費用の削減が課題となりました。そのため、今後は更に多くの組合、団体、企業との連携により、実行委員会などを発足させることでよりユニークなイベントにしていく必要があると専務理事の石坂氏はコメントしています。また、これまでの開催は日曜日だったため、地域に住むファミリー層などを集客してきましたが、「主要な来街者であるサラリーマン等に向けたイベント還元ができたのか疑問が残った」ともお話がありました。次回以降は、平日のイベント開催も増やし、サラリーマン層にもより楽しんで頂けるコンテンツを増やすことを考えているとのことです。今までにないイベントを数多く生み出す原動力のある、五反田商店街振興組合の動きには、今後も注目が集まりそうです。

城北支部 鵜頭 誠