街と人と学生のふれあい処 Cafe「しゃべり場」〜千住大門商店街を視察して〜

 7月度商店街研究会例会では、平成22年度コア個店リニューアル事業の指定を受け、オープンしたCafe「しゃべり場」の視察を行った。商店街からは、田口恵美子理事長、田内千枝子副理事長の2名と森本麗子店長が、研究会からは18名が参加し、活発な講話と質疑が行われた。

1.千住大門商店街の概要

 当商店街は、千住柳町の花街で周辺の4商店街が合同して「大門(おおもん)商店街連合会」を発足させ、昭和32年に大門商店会と改名した。事業面では、アーチの建設を行い商店街の発展を図った。昭和43年、「大門(おおもん)商店街振興組合」に改組、月4回大売り出しを行うなど活動を行ってきた。北千住周辺の再開発により、丸井や駅ビルができると客の流れが変わり、同商店街の各店舗の売上が減少、空き店舗も増加してきた。

2.帝京科学大学の開学

 北千住地区に現在大学が5校あるが、昨年は当商店街近くに平成22年に帝京科学大学千住キャンパスが開学し、学生の通行が多くなってきたため、学生への対応と空き店舗対策が課題となっていた。  足立区では、大学進出歓迎事業として、平成21年商店街での歓迎フラッグ掲出、平成22年大学生と商店街の交流促進と商店街の活性化、また学生生活応援ニュース「せんじゅスタイル」を発行させた。同事業と並行しコア個店リニューアル事業が進展し、同商店街など5件を採択した。  同商店街では、喫茶店跡の空き店舗を4年間の学生生活の思い出が残る商店街にと考え、平成23年1月にCafe「しゃべり場」 をオープンさせた。改装費480万円の約半分を区から補助金として受けた。  同商店街で購入したパンなどの持ち込みを可とし、気軽に立ち寄れる飲食空間としたが、ほとんど学生は立ち寄らなかった

3.大震災の発生と方向転換

  やがて、大震災が発生した。田口理事長は、昨年の大震災後、効率主義から精神的豊かさへの価値観の転換を認識し、愛と絆のコミュニティを目指して、地元年配者の交流の場として「おしゃべりの場」として行きたいとお話ししている。コーヒー類と弁当を提供し、店外からの食物の持込を可としており、開店は毎日8時〜19時、日曜祝日休業で、店長1名で対応している。カウンターと椅子席で20名ほどが入れる。月商60万円強、人件費、家賃を負担し収支は均衡している。

Cafe「しゃべり場」の正面

4. 地元年配者の交流の場として

 地元商店街と学生の交流の場を当初発足時の狙いとしたが、学内に学食等があるため学生の集客が思いどおりいかず、学生の時代感覚にあっていなかった。現在、近くの地域センターへの来訪帰りの年配者等の楽しみの場に転換しつつあり、いろいろとアイデアを検討中である。

城西支会 鈴木 隆男