「若手商人による街づくり」 〜バルの取組みを中心に〜

 商店街研究会11月の例会では、浦和駅東口の東仲町の浦和イーストゲートコミュニティーにおいて、フレンチ居酒屋「Bon Tiger」を経営する株式会社ヴァンドゥ取締役の宮崎恵美様から、浦和駅東口の街バルの取組みについてご講義戴きました。

1.浦和駅東口商店街の現状

写真 近年、周辺住民の高齢化が進み、また商店経営者も同様に高齢化が進んでいます。 地理的には、JRで東西に分断され、東口商店街は西口に比べて若者が少ない状況です。

2.当初の経緯

 東口の飲食店経営者が閉店後に食事をする店に自然と集まるようになり、集客イベントを計画、実行することになりました。高齢化もあり商店街一体となることが難しいため、若いメンバーで活動できる人が率先して、声を掛け合い進めて行きました。

3.具体的な施策とイベント

 @ 共通カード発行

「浦和駅東口を楽しもう!!」を合言葉に共通カード「浦和イースト・パスカード」 を発行して、イベント期間中は参加店舗にパスカードを提示すると特別サービスが受けられる企画を昨年3月に始めました。参加した7店舗は、2万円ずつ費用負担して5枚綴り700円のワンドリンク券を発行。参加店舗の中で、お客様をお互いに紹介し、来店者に特別なサービスをすることにしました。また、各参加店舗の仕入先にも宣伝面で協力をしてもらいました。

A食べ歩き&街歩き「UrawaEastグルメ祭り」

 「浦和駅東口を楽しもう!」を合い言葉に浦和駅東口のお店が協力し合って開催されるイベントを昨年8月に開催しました。開催に先立って、川越のイベントを参考にするため視察をし、川越とは違う「浦和な裏メニュー」をうたい文句としました。来街者は、5枚つづりの専用チケット3,500円を購入し、イベント参加した12店舗の行きたい店舗、日頃入りづらい店舗も含め複数の店舗を堪能できるイベントにしました。  地域のラジオ局と角川マガジンを媒介に宣伝したことから、反響が大きく、お客様が入りきれなかった店舗も出てきました。

B 浦和レッズレディース応援イベント

 本年3月から11月まで、なでしこリーグ2013の浦和駒場スタジアムでの試合開催日に行う企画で、赤い衣服を身に付けて参加16店舗に来店するお客様へ各店舗それぞれが特別なサービスをすることで、浦和レッズレディースと商店街を同時に盛上げるイベントでしたが、マスコットキャラクターを使うこともサッカー場でのチラシ配布も禁止され、参加店舗の殆んどでサービスも不調に終わるという結果でした。  しかしながら一方において、商店街から街全体を盛り上げていく機運が生まれ、商工会議所と行政にも注目されるという効果が表れるようになりました。

4..今後の課題と感想

 イベントを行った時に効果が出るが、時間が経つと忘れられ、来街者も減少していくため、常に新しい企画をして、続ける必要性があります。今後は、若者層に対しフェイスブック等のSNS、高齢者に対し印刷物による訴求により、来街者を増やす工夫が求められます。尚、JRは、全線の高架事業を進めており、工事完成後には、駅中商店街という新たな脅威があるものの、駅東西の行き来が容易になり西口に多い若者を取り込むことが可能となります。商店街活性化のために、中小企業診断士が支援する場が多くなることと思われます。

城西支部 鈴木隆