空店舗活用から地域貢献、地域交流に拡がりを見せる商店街 ― ハッピーロード大山商店街を視察して ―

 商店街研究会では、1月11日(土)、板橋区の「ハッピーロード大山商店街(ハッピーロード大山商店街振興組合)」を視察し、当商店街の理事長であり中小企業診断士でもある石川政和氏より、当商店街の地域貢献、地域交流を中心とした取り組みについてお話をうかがいました。

1. ハッピーロード大山商店街について

 ハッピーロード大山商店街は、東武東上線大山駅から川越街道まで連なる全長560mのアーケードを持つ商店街です。店舗数は約210店舗で最寄品を扱う店舗が多く、半径約1kmを商圏とする近隣型の商店街ではありますが、1日の来街者は3万人を超え、ここ数年は微増しています。 地域貢献、地域交流に特色ある取り組みをしており、2006年の「がんばる商店街77選」に選出されるなど、各方面での受賞をはじめメディアにも多く取り上げられており、非常に注目度の高い商店街です。

2. とれたて村を核に地域交流

写真 当商店街の直営ショップである「とれたて村」は、商店街と農山漁村との交流による双方の活性化を目指して2005年に空店舗を利用してスタートしたアンテナショップです。生産者の顔が見える工夫や、家族構成にあった適正な分量での販売、産地別ではなくアイテム別の陳列など、物産展とは違い、「お客様視点で買い物しやすいようにというのが大原則」と石川氏はいいます。 また、とれたて村は単なる物販だけではなく、ふるさとイベントなど産地との交流と商店街の賑わいをうまくマッチさせているところが大きな特徴といえます。産地訪問ツアーでは、産地の市長がサプライズ登場するなど、民間ツアーではできないような体験ができるということもあり参加者に大変好評を頂いているとのことです。

 さらに、産地の修学旅行生を受け入れての販売体験、板橋区内の学校給食への食材提供など、とれたて村を核に様々な取り組みへと拡大しています。

3.地域貢献への新たな挑戦

 とれたて村の村民(会員)は現在約1300人、その多くは60歳以上。来街者には若者も多いが、業種の偏りやテナントの増加など、若い人の個店利用が少ないとのことです。 石川氏は「若い人向けの店舗が少なく、若い人が商店街に創業・出店しやすくすることも課題」と話しています。 現在、「ハッピーロード大山TV」としてプロのリポーターが毎月商店街を生中継し、HP等で発信していますが、今後はさらにホームページをリニューアルするなど、各種メディアのさらなる効果的な活用を目指すとのこと。 新しい挑戦を続ける当商店街の取り組みには今後も注目です。

中央支部 打浪 龍司