「和」をコンセプトに地域の一体化を図る商店会連合会〜西荻窪商店会連合会を視察して〜

 商店街研究会では、5月10日(土)に東京都杉並区の「西荻窪商店会連合会」を視察し、当連合会の会長である猪鼻徳壽氏より、当連合会の現状や各商店街を活性化する取り組みについて、お話を伺いました。

1.西荻窪商店会連合会の概要

 西荻窪は、吉祥寺と荻窪の間に位置し、中央線沿線の他の地域と比べて静かなため、「癒し」や「安らぎ」がイメージされる街です。アンティーク、古書、画廊が多く、若い女性に人気があり、他地域からの来街者も増えています。個々には大きな商店街はありませんが、約25年前に地域の24商店街(約1,200店)が集まって西荻窪商店会連合会を結成し、共同で「ハロー西荻」スタンプラリーを毎年開催するほか、地域一体となったさまざまな活動を続けています。平成20年には、国と区の事業で町の各所に薮内佐斗司の「六童子像」が設置されたことを機に、当連合会も「六地蔵」を配置し、合わせて12の散策ポイントを創出しました。また、ホームページ「西荻ねっと(http://www.nishiogi-net.com/)」を開設し、各商店街、イベント、名所・旧跡、散策コースの紹介等を始めました。特に「うれしい店・おいしい店」のタイトルで各個店の情報発信に力を入れています。

2.主な商店街活性化の活動

 当連合会では、2つの「和」をコンセプトに商店街の活性化に取り組んでいます。 1つ目が、なごみの「和」です。西荻窪は住宅街でもあり、都心の喧騒とは異なる、ゆったりとした空気が流れています。この環境を活かし、住民や来街者との関係を強化する様々な取り組みが行われています。

 たとえば、西荻窪全域を歩く「ハロー西荻」です。これはスタンプラリーによって地域を一周できるイベントで、商店街に賑わいを出すことに寄与しています。 2つ目が、日本の「和」です。先述のとおり、当地域にはアンティークや古書を扱う店が多く、古いものを大切にする文化が根付いているといえます。これを「和」と捉え、様々なイベントが開催されています。 例として、「西荻おわら風の舞」や、狂言を愉しむ催しなど日本の伝統文化に触れるイベントが定期的に行われています。

  このように当連合会が中心となり、「和」のコンセプトのもと町の所々でイベントを開催することによって、町の一体化がうまく図られています。また、このことが地域住民や他地域からの来街者のCS(顧客満足)向上に少なからず貢献しているものと推察されます。

3.おわりに

写真 西荻窪商店会連合会の取り組みは、ソフト面のものが多いため、他の商店街へも展開できることがあると考えられます。  商店街研究会では、本事例の研究をさらに進め、今後の商店街支援活動に活かしてまいります。

 

 

 中央支部 原 陽介