平成26年度商店街の補助金関係に関する利用状況や課題 -平成27年度概算要求に係る予算関連について-

 商店街研究会1月度の例会では、商店街に関連する補助金の情報として『平成26年度商店街の補助金関係に関する利用状況や課題、平成27年度概算要求に係る予算関連について』と題して、経済産業省 関東経済産業局 流通・サービス産業課 商業振興室室長 清水桂子氏にご講演頂きました。 個別の事業者を対象にする補助金と異なり、商店街を始めとする地域の組織をターゲットにする補助金は、施設の充実や催しものの開催など直接的な効果に加え、商店同士や商店街と地域住民との繋がりを強くするという意味で重要です。 商店街を支援する立場として、その実施状況や今後の方向性を知ることのできる大変貴重なご講演となりました。

1.平成26年度商店街の補助金関係に関する利用状況や課題について

@平成24年度、平成25年度補正予算「商店街まちづくり事業」(まちづくり補助金)と「地域商店街活性化事業」(にぎわい補助金)について

 24年、25年補正予算として実施された2つの補助金についてその実績をご紹介頂きました。 まちづくり補助金は24年度・25年度合わせて327億円という大規模な予算で実施、全国で3624件の採択。安心安全に資するハード事業を想定しており、街路灯のLED化、防犯カメラの設置、アーケードの改修の3つで95%を占めました。一方、にぎわい補助金は、24年度・25年度合わせて153億円の予算規模で実施、全国で4296件の採択。ソフト事業を想定しているため、ほとんどがイベントの実施でしたが、他にマップや冊子の作成、イルミネーション等にも利用されました。最終締め切りでは採択率が狭き門となってしまいました。

A平成24年度から平成26年度の商店街関係補助金の実績について

 平成24年度から26年度にかけて実施された東京・神奈川・千葉・埼玉の補助金実績について具体的事例をご紹介頂きました。 中小商業活力向上補助金、地域商業再生事業費補助金、地域中小商業支援事業補助金、等を活用し、各補助事業者が取り組んだ内容と特徴は、今後補助金を利用するにあたっての参考となりました

2.平成27年度概算要求に係る予算関連について

 まちづくり補助金、にぎわい補助金は、消費税増税に伴う経済対策のための施策であったため、27年度は実施されません。 中心市街地再生事業費補助金、中心市街地再興戦略事業費補助金、地域商業自立促進事業、の27年度実施予定の内容について、補助事業の目的や注意点をお話し頂きました。それぞれの特徴を理解し、支援先商店街の現状にあった補助金とのマッチングが必要であることを示唆して頂きました。

3.今後の課題と感想

  商店街に地域需要の担い手及び地域コミュニティの拠点として、地域生活を支える機能が求められていることは、これ迄もこれからも変わらないと考えます。 補助金を活用し、安心・安全な街づくりを推進することや、イベントを通じて地域の住民と交流しニーズを把握することは、商店街の魅力を高めるとともに、各店舗の業績にも貢献する取組といえます。 また、補助金を活用する取組を通じて、個店同士はもとより、町会や地域のNPO等と繋がり、商店街を担う次世代の人材を発掘することもできるのではないでしょうか。中小企業診断士として、5年後10年後を見据えた支援が重要と改めて認識致しました。

城東支部 内田雅敏