安全・安心な地域をめざした日本初の民間交番 -明大前商店街振興組合の15年間にわたる取り組み-

 商店街研究会では、3月12日(土)に世田谷区の明大前商店街振興組合を訪問し、商店街事業である「明大前ピースメーカーズ」の活動について本杉理事長にお話を伺いました。 明大前駅の近くにあった交番が昭和35年に焼き打ちに遭って隣町に移転した影響で、周辺は一時期治安の悪化が進みました。そこで、街の安全を守るために平成13年10月に10名の商店街役員による自警団「明大前ピースメーカーズ」が防犯パトロールを始めました。そして京王電鉄と世田谷区役所から土地の無償貸与を受け、区による建設費の全額補助を受けて平成14年4月に明大前駅前に日本初の民間交番が誕生しました。

 ピースメーカーズの活動効果は直ちに現れ、平成12年は松原小学校の児童に対する痴漢被害が10日に1度は発生し世田谷区内64小学校でワーストでしたが、発足直後からほぼ0にまで激減しました。また、平成13年に527件あった松原地区の犯罪件数(窃盗、空き巣、引ったくり、痴漢)が平成15年は95件に減少しました。安全な街として明大前駅は大幅に乗降客が増加し、地価の上昇も見られました。活躍は警察白書にも取り上げられ、全国紙やテレビを始め日本だけでなく世界のマスコミにも紹介されました。ピースメーカーズは、今では全国に約48,000ある防犯パトロール隊の先駆けと言えます。 活動が15年間も続いている要因としては、犯罪件数や被害額を数値化して把握することや週1回以上は参加するシフトを組むことで、参加者のモチベーションをうまく保つことが挙げられます。300万円の年間予算で街のにぎわいに高い成果を上げています。

城北支部 大江 隆夫