平成28年度東京商店街グランプリ受賞 ~杉並区和田商店街が取り組む「街の力を育てあい事業」~

 商店街研究会では、10月21日(土)、「平成28年度東京商店街グランプリ」受賞と「中小企業庁のはばたく商店街30選」に選出された杉並区「和田商店会」を視察し吉村会長、三木企画部長より、子育て世代と商店街をつなぐ取組みについてお話しをお聞きした。 和田商店街の歴史は古く結成65年を迎え、会員は52会員である。駅から10分以上離れているが、住みやすい環境にあるためマンション建設が進み、子育て世代が増加した。しかしそのニーズをつかみきれなかったため商店街の店舗に足を運ぶ人は増えなかった。

 平成22年、アドバイザーの西本則子氏が仕掛け人となり、「住みたい街をお店とともにつくろう」を合言葉に「親子で街デビュープロジェクト」が誕生した。またこの活動から商店街を応援する子育てグループ「わだっち」を発足した。このプロジェクトでは商店街を舞台にお店と若い世代をつなぐアイデアや力を発揮してその後さまざまなイベントを提案し、商店街との協働を行っている。これまでの実績として、お店に入るのが敷居が高いと感じる商店街初心者を対象に「商店街ツアー」、商店街を回遊し店主と親子の交流を目的とした「クイズラリー」、商店街店主が講師となり店頭で店舗の魅力を体験するミニ講座の「和田トライアルウイーク」等、毎年新しい取組みで趣向を凝らしている。

  この取組みにより、商店街では@若い子育て世代の親子の取り込みが出来、イベント参加者がその後その店の固定客につながっている。A役員に女性や若者が加わり、活動が活発化した。また子育て主婦は、@育児休期間中に社会とのつながりを持ち続けられることや、自身の持つスキルを商店街イベントで生かすことが出来ること、Aまた商店街との交流で子供を見守る駆け込み場が増える事、等により「商店街と地元住民がWin-Winの関係」を構築し、それが年々発展していっている。

 最後に、吉村会長からの挨拶で、「この取組みは、平成22年から長い時間をかけて商店街と子育て世代の親子とのコラボレーションによる成果が実って受賞に繋がったもの」との言葉があり、商店街を愛する皆さまの努力の積み重ねの賜物であるとの認識を深めた。

城南支部 田村 隆彦