芦花公園商店街が取り組んだ初めてのまちバル 「食べロカ飲みロカ」の成功の秘訣

 商店街研究会では、2月10日(土)、世田谷区の「芦花公園商店街振興組合」を視察し高橋重男理事長およびサポーターの谷きよみ中小企業診断士から「初めてのまちバルについて」の取組みについて、それぞれお話をお聞きした。芦花(ロカ)公園駅は、京王線沿線の住宅地区で乗降客数も比較的多いが、同振興組合では周辺大手商店街や量販店に押され、加盟数は過去の100店舗から現在は41店舗までに減少し危機感を募らせていた。今回初めてまちバルとして「食べロカ飲みロカ」(28/9/30日<金>16:00〜)を開催、2,000枚・400セットを超えるチケット完売とイベントは大盛況に終わり、その後商店街飲食店等の利用頻度が増加するとともに新規に7店舗程加盟する成果を得ている。

1.まちバル初開催の苦労談と成功した秘訣について

 今年初めて開催したイベントは、商店街の生き残りの策として周辺の住民を商店街へ取り込むことで潜在需要を取り込むのが目的である。苦労した点は、イベント会場がないこと、まちバルの経験が全くなかったこと、補助金を含めても予算が限られていたこと、飲食店を中心で当初賛同者が少なかったことである。このため、同振興組合では、約9か月のスケジュール表に沿って、専門家の支援を受けながら周辺の街バル事例を幾つか視察してレポートを取り纏めたほか、参加店への呼び掛け、パンフレットの作成、ポスター掲示等を実施している。 こうした中、工夫を凝らした「食べロカ飲みロカ」のパンフレットの制作、および前売りチケット(5枚綴り3,500円、440セット2,200枚)の完売に成功。パンフレットではバル用メニューおよび店長・店内の写真を13店舗毎(うち加盟店4店舗)に掲載することによってお値打ち感や店舗への親近感を醸成するとともにパンフとして継続的使用が可能である。更にチケットを使い切れなかった来客者のために、みやバル(お土産<菓子・果物>)や後バル(10月)の開催を行っている。 今回成功した秘訣は、@イベント幹事方が危機感をもって熱心に取り組まれたため周囲の参加意識が高まっていったこと、Aバル用メニュー発表会の開催や前売りチケットの販売目標を参加者毎に設定(最低100枚)してお互いを競わせたこと、B専門家のアドバイス(前売りチケットの販売方法等)および他商店街のノウハウ(印刷業者の紹介等)に加え、周辺企業・社会支援施設の支援等を積極的に取り入れたこと、にある。

2.今後の課題等について

 今後の課題は、(1)飲食店以外のより幅広い加盟店の参加形態の実現、(2) 赤字克服のための更なる予算の確保(今回非加盟店からは参加料を徴収)、(3) アンケート結果の分析に加え、人気店への集中・行列、当日券の購入困難化等への対応等がある。同振興組合では今回の成功体験を受けて様々な店舗間の連携強化やイベント企画に力が入ってきていることに大きな手応えと期待を持ち始めている。

城南支部 松尾 隆