「商店街の形成の歴史と商業政策について」

 9月の商店街研究会は、先月に引き続きZOOMでの開催となりました。鈴木隆男会長を講師として、商店街の形成の歴史と商業政策について学びました。 商店街には目に見える「空間概念」と任意の参加による「組織概念」があり、診断士として関わるのは後者が中心となります。

 商店街組織の役割・機能ですが、最近はイベントを中心としたソフト事業がメインとなりつつあります。しかし商店街組織は会社と異なり、ボトムアップ的な地縁で結ばれた人的結合体であるため、利害調整が難しく組織活動が進めづらいという特徴もあります。その原因の一つとして「競争」が挙げられますが、その競争こそが商店街全体の魅力を高めるため、組合員の平等性と任意性に配慮しつつバランスを取った運営が求められます。

  また商店街を理解するにあたり、その歴史的な変遷もポイントになります。昭和40年代は大型スーパーが台頭し商店街と対立、スーパーの出店を規制していました。しかしその後、アメリカの外圧もあり緩和の方向に進み、郊外を中心に大規模ショッピングセンターが増えていきます。そして今度は中心市街地の空洞化を抑えるため、まちづくり3法が施行、現在の商店街が形成されてきましたが衰退の方向に向かっているのが現実です。

  商店街の性格は、周辺大型店の存在、ライフスタイルの変化、高齢化・人口減少などの都市特性に大きく影響を受けます。今後は人口減少時代を迎えコンパクトシティづくりが意識されることに加え、コロナも影響してくるものと思われます。「商店街は歴史が深く、人間関係が絡む」という鈴木会長の言葉は商店街の特徴を集約しているように感じました。商店街組織を理解し今後のまちづくりの伴走者になることが診断士に期待されています。

中央支部 盛澤陽一郎